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専門性を起点に、世界に誇れる技術開発に挑む
富士通研究所 人工知能研究所 生成AI CPJ
シニアプロジェクトディレクター
白幡 晃一

Q.なぜ博士課程に進学しようと思ったのですか?
博士課程に進むかどうかは、実はかなり悩みました。もともと企業にも興味があり、就職したほうが良いのではないかと考えたこともあります。ただ、やはり新しい技術をつくっていくためには、専門性をいかに高めるかが非常に重要だと感じていました。難しい道かもしれないけれど、将来的に活躍できる可能性が高まるのではと考え、博士課程への進学を選びました。
博士課程では、スーパーコンピュータを使ったビッグデータ処理の高速化に取り組んでいました。当時はまだ珍しかったGPU搭載のスーパーコンピュータ上で、いかに効率よくビッグデータを処理できるかがテーマでした。
私は、システムソフトウェアの設計やアルゴリズムの開発、実装・評価まで一通り手がけており、学生時代から「スーパーコンピュータを活用して社会課題をどう解決するか」に強い関心がありました。当時「京」の開発を進めていた富士通が、日本発で世界に誇る技術開発を行っている会社ということに魅力を感じて「自分もその一端を担いたい」と思い、入社しました。

Q.博士課程で培った力は、仕事にどのように活きていますか?
博士課程では、自分でテーマを設定し、長期的に成果を出す必要があるため、自立した研究姿勢や、プロセス全体への責任感が求められます。テーマ設定から開発、発表までを一通り回す中で、プロジェクト全体を俯瞰して判断できる力が身につきました。全体を経験していることで、業務の中でもどんなポジションでも的確に動けますし、チーム全体を支える力にもつながっていると思います。
あとは、やはり「この領域に関しては誰にも負けない」という強烈な専門性です。もちろんまんべんなく何でもできる人も重要ですが、特定分野で圧倒的に強い人がいると、そこを活かして他では出せないような尖った成果が出せる。そういった強みを持った人が数人いると、技術としてすごく強くなれる、という流れがあると思います。
Q.博士へのメッセージをお願いします
自分自身、就職活動のときに「ある程度経験は積んだ」と思ってはいましたが、それが社会でどう活きるのかまでは見えていませんでした。だからこそ、自分のスキルや経験を言語化する力が重要だと思います。最近ではトランスファラブルスキルとも言われていますが、博士課程で自然と身につく汎用的な力があると、私も思っています。ただ、自分では気づきにくいので、研究室外の人たちと関わる機会を持つことが大切だと考えています。他者との対話の中で、自分の強みや特性が見えてくることも多いです。
私も海外でのインターンシップ経験を通じて、世界のトップを見たことで、「自分はなんでもできる」と思っていた状態から、「これくらいしかできない」と限界を知り、その上で「じゃあこの道で勝負しよう」と現実的に考えられるようになりました。
また、同じ人でも環境が違えば活躍度は大きく変わります。博士人材が企業でより活躍していくためには、「自分の専門が企業のニーズにぴったり」というマッチングだけでなく、「自分の能力は別の分野でも活かせるかもしれない」といった視点も持ってみると良いと思います。





