開発手法にとどまらないアジャイルで、真の組織変革を

全社変革を進め、従来のSIビジネスモデルから脱却する富士通株式会社。お客様企業の「パートナー」としてDXを支援するなかで、開発手法にとどまらず組織そのものにアジャイル手法を適用する「Agileコンサルティング」にも注力しています。富士通のアジャイルの考え方や手法、その独自性について、Agileプラクティスリーダーの添田氏にお話を伺いました。

出典:ビズリーチ 公募ページ「富士通株式会社」(2024年9月19日公開)より転載新しいウィンドウで開きます

SIビジネスからの完全なる脱却。顧客のパートナーとして事業を「共創」する

Agileプラクティスリーダー/添田 直之

Q. 富士通の提供するAgileコンサルティングの特徴を教えてください。

アジャイルというと、システム開発における一つの開発手法を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、富士通が提供するアジャイルは、単に開発工程だけに適応するものではなく、組織にその重要性を説き、マインドセットを変革させる、広義のアプローチを指します。お客様の組織やビジネスを、市場環境に適応させながらスピーディーに変革させていくことを目的としているのです。

以前から、富士通ではお客様企業のDXの実現にはアジャイルアプローチが不可欠であると考えており、2022年頃から「ビジネスアジャイル支援サービス」と名付けてサービスを提供してきました。

Q. アジャイルの「コンサルティング」にフォーカスしているのはなぜでしょうか。

変化の激しい昨今、技術進化や市場変化のスピードが速まり、お客様の組織やビジネスにアジャイルを取り入れる必要性が高まっています。加えて、アジリティ高くビジネスやプロダクトを創造・進化させていくには、ビジネスの企画から開発・運用までのプロセスをお客様企業で内製できることが最適です。そのためには相当な技術力が必要になるのはもちろん、組織とマインドセットも変革していかなければなりません。それらを支援するために、私たちはAgileコンサルティングを展開しています。

もともと富士通は、お客様から大規模なシステム開発を受託して、数年後に納入するといったSIビジネスを主力としてきました。しかし変化に適応するには、当然、これまでの受託開発スタイルでは間に合いません。お客様に伴走しながら市場変化を取り入れ、サービスやプロダクトを素早くつくって改善していくコンサルティングサービスが欠かせないのです。私たち富士通自身も、お客様に伴走して共創するスタイルに変わっていきます。

Q. 組織変革を促すAgileコンサルティングを行ううえで心掛けていることはありますか。

これまでのSIビジネスにおける受発注の関係性から脱却することです。お客様と共にビジネスを創造するパートナーになる、その思いを社内で持つのはもちろん、お客様企業にもお伝えしています。パートナーとして互いに知見やノウハウを提供し合いながら、よりよい成果を目指していく。そのためには、お客様だけでなく富士通自身もビジネスデザインやプロダクトデザインのスキルを一層強化しなければならないと考えています。

強みは、未来を見据え、社会課題の解決を追求する「富士通マインド」

Q. Agileコンサルティングにおける富士通の強みは、どのようなところにありますか。

システム開発において、富士通は20年以上前からアジャイル手法を提供してきました。その長年の実践知に基づいた、構想から実装までを一気通貫で支援できる点が何よりの強みです。加えて、開発現場だけでなく、お客様の経営層やマネジメント層とも密にコミュニケーションを取りながら、アジャイルな組織へと変革する支援まで行う点も当社の特徴といえます。

富士通は2020年から全社変革の取り組みを進めており、2021年にサステナブルな世界の実現を目指す事業モデル「Fujitsu Uvance」を立ち上げました。代表取締役社長の時田を筆頭にトップが本気で変革にコミットしたことで、メンバー一人一人の意識も変わり、未来を見据えたビジネス創出や社会課題の解決への意識が非常に高まっています。こうした組織の土壌があるからこそ、市場変化やお客様の潜在的課題、エンドクライアントのニーズなどを踏まえ、新しいビジネスやプロダクトをデザインできるのです。

Q. Agileコンサルティングの代表的なプロジェクト事例を教えてください。

パナソニック コネクト様がBlue Yonder様とのジョイントソリューションであるサービスを開発するにあたって、富士通がご支援したプロジェクトを紹介します。

当初、お客様が独自にアジャイル開発を進めていたものの、「外部の知見を借りたい」と当社に声がかかりました。同プロジェクトでは、まず当社はアジャイルの価値やプロダクトデザインに必要な姿勢を説くトレーニングを実施。そのうえで、チームの編成を少人数制に変え、自律的な組織づくりを目指しました。

Q. プロジェクトを成功に導くために、どのような支援を行いましたか。

要件通りにただ開発を進めるのではなく、はじめに「なぜこのシステムが必要なのか」や「お客様にとって、この機能はどのような価値があるのか」といったことを問い直す機会を設けました。こうした場が、プロダクトオーナーだけでなく開発メンバーの一人一人にユーザー視点や主体性を根付かせることにつながります。

また、これまでパナソニック コネクト様と開発パートナーがほとんど面識のないままにプロジェクトが進んでいたことも課題視し、お互いの顔と名前が一致する状態をつくってチームの一体感を醸成した上で再スタートを切りました。同時に、2名のプログラマーが1台のマシンを操作する「ペアプログラミング」、3名以上で行う「モブプログラミング」を導入。これによって、互いの得意不得意を補いつつ、スキルの平準化を図り、手戻りの削減や開発スピードの向上を実現したのです。半年後には、お客様のアジャイルチームが米国のユーザー企業に出向き、直接ユーザーの声を拾い上げながら仮説検証を進めるなど、自らサービスを開発し運用する体制が整いました。今では、そのノウハウをお客様社内の他プロジェクトへ横展開していく立場になっています。

専門性の高い4ロールが連携して行うAgileコンサルティング

Q. 富士通のAgileコンサルタントの具体的な役割を教えてください。

当社では、Agileコンサルタントを4つのロールに分けています。お客様の課題に応じて4ロールが連携することで専門性の高いサービスの提供につなげています。

具体的には、まず「エンゲージメントリード」がお客様のマネジメント層やプロダクトオーナーとコミュニケーションを取りながら、アジャイルな組織への変革を導いていく役割を担います。次に「アジャイルコーチ」が、アジャイル開発チーム全体へのマインドセット構築やコーチング、時にはスクラムマスターの育成も担います。そして「アジャイルアーキテクト」が、お客様のビジネスアジリティを高めるために、クラウドネイティブな環境や既存のモダナイズといったアーキテクチャ戦略をリードします。そして「テクニカルリード」が、短期間で開発やリリースを行うためのエンジニアリングプラクティスのトレーニングやコーチング、DevOps環境の構築を支援しています。

先に挙げたパナソニック コネクト様の事例でも、各ロールが協働し、それぞれの専門性を発揮することでプロジェクトを成功に導きました。

Q. どのような方に仲間になってほしいですか。求める人物像を教えてください。

アジャイルの重要性を理解し、そのうえでアジャイルの推進につまずいた経験のある方にぜひご応募いただきたいですね。というのも、アジャイル開発のなかでは、ステークホルダーの意思統一に苦労したり、自社の体制が不十分だったり、さまざまな課題に直面し苦い思いをする場面が少なくないからです。

そのなかでも、「アジャイルの実現には組織変革が不可欠だ」という気付きを得て、課題感を持ってアジャイル推進に向き合っている方であれば、当部門で大いに活躍していただけるでしょう。やりがいのある仕事と、活躍の場を広げるチャンスを提供するとお約束します。

アジャイルな姿勢や組織文化を、日本に浸透させたい

Q. Agileコンサルタントとして入社した後のステップも教えてください。

入社後はまず、開発手法だけにとどまらないアジャイルの考え方や進め方など、富士通が持つノウハウを体系的にお伝えします。

その研修を受講した後、Agileコンサルタントはそれぞれの部署へ配属され、実際のプロジェクトに参画することで、OJT形式で富士通のAgileコンサルティングを習得していただけます。

Q. 最後に、読者へのメッセージをお願いします。

多くの企業でシステム開発の内製化が進む今、富士通の立ち位置も大きく変わっており、「お客様と共にビジネスを創造する」役割が求められています。そうしたなか、われわれAgileコンサルタントが富士通の変革をリードする立場にあるといっても過言ではありません。われわれが富士通の大きな転換期を支え、変革の起爆剤となる、そうした強い思いで事業を展開しています。

また、日本企業は欧米に比べアジャイルアプローチが浸透していないと言われることが多くあります。これは裏返せば、日本にはアジャイル市場に大きな伸びしろがあるということ。富士通自身の変革をリードしながらAgileコンサルティングの実績を積み上げ、日本社会にアジャイルマインドを根付かせ、日本が元気になる未来を共に実現していきませんか。

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