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人員5倍の規模拡大を狙う、コンサル組織の勝ち筋とは

  • 制作:NewsPicks Brand Design

2025年度までにコンサル人材を1万人へ──。
昨年、コンサルティング事業を強化する方針を発表し、今年新たなコンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」を打ち出した富士通。同社は2025年度までに、現在約2000人のコンサルティング人材を5倍以上に拡大し、1万人を超える規模を目指している。
富士通社員の「リスキリング(学び直し)」と中途採用、M&A(合併・買収)などによって人員を確保する予定だという。しかしながら、わずか2年ほどで2000人から1万人ものコンサルタントを揃えるのは簡単ではないはず。
そこで同社のコンサルティング事業をリードする執行役員副社長 COOの大西俊介氏に直撃。「富士通自身の変革のためにも、コンサル事業の規模拡大を成し遂げたい」と意気込む大西氏に、コンサル拡大の狙いと勝ち筋を聞いた。

大西 俊介 35年以上に渡り、日系・外資系のITサービス・コンサルティングカンパニーに在籍。NTTデータグローバルソリューションズ代表取締役社長、インフォシス日本代表を経て、2019年にエンタープライズビジネスグループのVice Headとして富士通に入社。2020年~2023年までエンタープライズビジネスグループ長として、グローバルでのOne deliveryを実現する組織の立ち上げを主導。その後、グローバルカスタマーサクセスビジネスグループ長として、製造、流通、金融領域を統合し、約1,300社の大手企業とのビジネスを推進。2023年にCRO就任後、2024年から副社長COO兼CROとして、カスタマーフォーカスをベースとした成長戦略をグローバルに推進し、収益最大化を目指す。

35年以上に渡り、日系・外資系のITサービス・コンサルティングカンパニーに在籍。NTTデータグローバルソリューションズ代表取締役社長、インフォシス日本代表を経て、2019年にエンタープライズビジネスグループのVice Headとして富士通に入社。2020年~2023年までエンタープライズビジネスグループ長として、グローバルでのOne deliveryを実現する組織の立ち上げを主導。その後、グローバルカスタマーサクセスビジネスグループ長として、製造、流通、金融領域を統合し、約1,300社の大手企業とのビジネスを推進。2023年にCRO就任後、2024年から副社長COO兼CROとして、カスタマーフォーカスをベースとした成長戦略をグローバルに推進し、収益最大化を目指す。

なぜコンサル拡大に挑むのか

──2025年度までにコンサル人材を1万人規模へと拡大を目指します。まずは富士通がコンサル事業拡大に挑む理由について教えてください。

大西 理由は大きく3つあります。
1つ目が、産業構造の変化です。社会課題が複雑化・多様化する現代に、企業が単独でイノベーションを起こすのは難易度が高い挑戦です。
そこでさまざまな業種や分野の知見を融合し、業界の垣根を越えたクロスインダストリー領域の変革を追求してきた私たちだからこそ社会課題の解決に貢献できることがあると考えました。
2つ目に、AI・量子コンピューティングなどの技術進化です。近年は生成AIが社会を大きく変えつつありますが、今後は量子技術の存在感もますます大きくなるはずです。
世界最高峰のアカデミアと連携した研究開発拠点を世界各地に保持する私たちであれば、先端テクノロジーに関する知見から、お客様の未来のあるべき姿を描き、実行支援まで伴走することができます。

最後に重要なのが、富士通自身の変革です。お客様の要件をそのまま構築・提供するのではなく、富士通内で育んできた知見も有効活用しながら、より対等な立場で付加価値の高い支援を実現できる企業へと変化したい。
私たちが育んできた技術力にコンサルティングスキルを掛け算することができれば、お客様の深い課題解決に伴走できる存在になれます。
富士通自身が変革を遂げ、社会やお客様に新たな価値を提供するためにも「Uvance Wayfinders」という新ブランドを立ち上げ、新たな変化の波を起こしていきたいと考えています。

反骨心のある人材をリスキリング

──どのような方法で1万人規模のコンサル拡大を実現させようとしているのでしょうか。

リスキリング、採用、M&Aの3つの手段による人材拡充を目指します。
このうち最も多い増員を見込んでいるのがリスキリングであり、約6000人のコンサルタントが対象となる計画です。
中途採用とM&Aも積極的に進めますが、特に国内においてはM&Aの対象となるコンサルティング会社は決して多くはない。これらの手段で人材を増やすには多少の時間も要するため、まずはリスキリングが柱となります。

──リスキリングの対象となるのはどのような社員ですか。

一定の基準を設けて、コンサルティングで扱う案件と類似するプロジェクトの経験者や、コンサルタントとして通用する知識・経験を持つ社員をリストアップし、リスキリングプログラムの対象としていきます。
とはいえ、その基準さえクリアすればいいわけではない。それ以上に私が大切だと考えているのが「反骨心」です。

──反骨心、ですか。

仕事内容やポジション、これまでの評価に基づく昇進のスピード感に違和感を感じ、自ら現状を変えたいと立ち向かう気概のある人でなければ、新しい場所に自ら飛び込もうとしないでしょうし、短期間で成長することもできない。現状に満足しない反骨心こそが、新たな成長の原動力になるはずです。
その点、富士通は意欲的な個人がチャレンジしやすい会社でもあります。一般的に日本企業はチームワークを重視し、グループ単位で頑張りを評価します。
それに対し、富士通はグローバル標準のジョブ型人事制度を導入し、個人を評価する仕組みと環境が用意されている。また並行してUvance Wayfinders独自の報酬制度も準備しています。
これによりコンサルタントとして成長したいと考えるモチベーションの高い個人を積極的に引き上げていくつもりです。

──コンサルタントへの転身は簡単ではないはずですが、どのように短期間で育成しようとしているのでしょうか。

良いコンサルタントを育てるには、「良いコーチ」が必要です。
ITの世界では、ドキュメント化した仕様や方法論を座学で学ぶ育成が中心です。しかし、コンサルティングの世界では師匠から弟子へと知見を受け継いでいく、一見トラディショナルに見える育成方法がいまでも大切だと考えています。
良い師匠とは、良いお客様と良い仕事をして、弟子にとって良い手本となれる者を指します。
その点、私たちは2020年に設立したコンサルティング会社Ridgelinez(リッジラインズ)のナレッジを活用できる点が強みです。
同社も設立から4年が経ち、大企業やトップ企業のお客様との仕事を通じて質の高いノウハウや事例が蓄積されつつある。富士通の優秀なコンサル人材層をさらに拡大すべく、それらを手本にリスキリングを推進します。
またそれ以外にも独自の研修プログラムを用意し、国内にある自社施設を使った教育体制も整備しました。海外についても米国や欧州、オセアニアなどに教育機関となるアカデミーを展開し、育成やリスキリングを全面的にサポートする計画です。

──Ridgelinezのナレッジと独自の育成プログラムがカギになると。

もちろん誰もが簡単にコンサルタントになれるとは思っていません。
それでも社会全体でコンサルニーズがこれだけ高まっていて、なかでもDX関連のニーズがまだまだ発生している。コンサルタントの供給が圧倒的に足りていないいま、その需要に応えて社会的インパクトを生み出すには、規模にこだわる必要があります。
富士通にはグローバルで約12万人もの社員がいます。豊富な人材こそが私たちの競争力 の源泉であり、その中から多くのコンサルタントが育つと確信しています。
今後はさらに教育体制の拡充や採用を加速し、今年度中には1万人のうち半数を確保したい。そして来年度中に残り半数を確保できる見通しです。

コンサルタントに必要な「リアリティ」

──ニーズの高まりを背景に、各社拡大戦略を打ち出すコンサルティングファームが増えています。競合ひしめく中、富士通ならでは価値をどのように差異化していきますか。

差異化ポイントの1つは、テクノロジーカンパニーとしての強みを最大限に活かすことです。
富士通は世界に誇る研究開発拠点を国内外に有し、AIや量子コンピューティング、セキュリティなどの領域で当社にしかない技術やソリューションを生み出してきました。
特にこの数年はテクノロジーの進化が目覚ましく、今後は生成AIや量子コンピューティングの社会実装も進んで、ビジネスを劇的に変化させるでしょう。テクノロジーの実装が進んだ世界において、富士通の技術力を活かせるのは競合にはない唯一無二の強みです。

もう1つは、富士通の自己変革力をお客様にソリューションとして提供できること。典型的な日本型大企業だった富士通自身を変革すべく、2020年から全社的DXプロジェクトに取り組み、ビジネスモデルから製品・サービス、組織や企業風土までを刷新してきた経験があります。
そのため企業が変革を進める上で何が壁となり、どう乗り越えればいいかも熟知している。当事者として自己変革を経験した者しか得られない知見をお客様に還元し、お客様の変革を実行に導くパートナーになる。それは私たちにしか果たせない役割だと自負しています。

──コンサルタント自身にはどのような素養が求められると考えますか。

重要なのは「リアリティ」です。これから起こる社会変化を予測し、現在と未来のギャップを埋めるストーリーを紡ぎ出すには発想の斬新さや創造性が必要ですが、それだけでは絵に描いた餅になってしまう。
その業界や企業には、どのような文化や慣習があるのか。どんな価値観を持った人たちで構成されているのか。どのような仕組みや人間関係のもとで組織が動いているのか。
こうした実態を踏まえたうえで、企業や組織に対する深い理解がなければ、お客様の課題に対して現実的な処方箋を提供できません。
技術理解を通じて未来に対する解像度を高め、かつ現実の仕組みを理解したうえで、実行可能なソリューションを提供する。現実を動かす力がこれからのコンサルタントには必要だと考えています。

権限と責任を持つ立場でチャレンジできる

──本格的な事業拡大は始まったばかりですが、ビジネスとしての展望をどう描いていますか。

将来的にはコンサルタントを1万人からさらに増やしていくなどさらなる規模の拡大も目指しますが、それ以上に社会的インパクトを出せるようになりたいですね。
日本だけでなく、グローバルでも注目されるような案件を任されるプロフェッショナル集団になるのが目標です。

──規模拡大の発表を受けて、富士通のコンサルティング事業に興味を持つ人も多いと思います。いまジョインすることで得られる成長やメリットを教えてください。

コンサルタントはお客様との関わりの中で成長します。富士通は社会的影響力を持つ企業とのお付き合いが多く、扱う案件のスケールや課題の難易度もハイレベルになる。だからこそコンサルティングの現場が修練の場となり、自分を日々成長させていくことができます。
また富士通本社に属するコンサルティング組織だからこそ、裁量を持ってやりたいことにチャレンジできるメリットもあります。私たちには本社としての権限があり、自分たちの判断で思い切った挑戦ができるのが醍醐味です。
ただ自由には責任も伴います。自分で考え、決めて、実行して、最後は自分で責任を取る。富士通は個人の力を評価する組織なので、一人ひとりが自分の意思決定や行動に責任を持つことが求められます。
それを面倒だと思うのではなく、だからこそやってみたいと思える人が、コンサルタントとして大きく成長できるのではないでしょうか。

──コンサルティング事業のトップとして、これから参画する人たちへメッセージをお願いします。

日本人は、もっと自分が評価されることに誇りを持っていいと思うんです。それに難易度の高い課題を解決したり、社会的インパクトの大きい仕事を成し遂げることにプライドを持てる人は、コンサルタントとして伸びるというのが私の考えです。
特に富士通の日本のお客様は日本経済の中心であり、そのお客様の変革をパートナーとして担える経験は大変貴重です。グローバルに展開する大規模プロジェクトへの参画、新規事業の立ち上げなどキャリアとして魅力的な経験を積める機会が数多くあります。
また、よりグローバルな視点でいえば、日本に本社がある富士通でコンサルタントとして働くことはとても面白い経験ができると思います。これは経験しないと分からないところかもしれませんが、海外拠点側と本社とでは裁量や意思決定に大きな違いがある。その点、富士通は本社としてのガバナンス、海外事業への関わり方、社会に影響力が高いプロジェクトを数多く用意できると考えています。
富士通の自己変革はまだ道半ばであり、変えていかなければいけないことがたくさんあります。私たちの目指す未来に共感し、一緒にチャレンジしたいと思う人がいればぜひジョインして欲しいです。
規模拡大真っ只中のいまだからこそ、得られる経験や成長もあるはず。私もいまはコンサルティング事業の責任者という立場ですが、中期的視点で富士通が継続して変革を実現できる戦略を考えていきたい。富士通の未来を担う人たちとともに、これから新たな挑戦ができるのを楽しみにしています。


執筆:塚田有香
撮影:竹井俊晴
デザイン:高木 菜々子
編集:君和田郁弥
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202︎4-︎︎6-19 NewsPicks Brand Design

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