山本 多絵子

富士通が目指すのはお客様の想像を超える、ビジネス変革

EVP CMO ※Marketing

Microsoft、IBMと世界の名だたるグローバル企業の日本支社でマーケティングに携わってきたCMOの山本多絵子氏。世界のマーケットで培ってきたナレッジや経験を生かして、富士通から世界へ日本の力を発信していきたいと話します。マーケティングのトップが語る、転職したきっかけやDX時代の富士通など、ビジネスが大きく変わる今だからこそ気になることをインタビューしました。

世界に日本の価値、パワーを届けたい

Q. 富士通に入ったきっかけを教えてください。

前職は日本マイクロソフト、日本アイ・ビー・エムで働いていました。米国に本社があるグローバル企業で多様な社員とともに、ダイナミックに多くのチャレンジを乗り越えてきました。一方で、本社が世界規模で戦略を立案し、実行のフレームワークを決定してく中で、支社はその枠組みの中で、最適な結果を出せるように実行するという役割分担であることに、少しずつ物足りなさを感じ始めていました。

特にグローバル企業では、急速な成長が見込まれる市場が戦略策定の中心に置かれ、成熟市場である日本への注力エリアが限定されはじめ、その傾向はどんどん強くなっています。そうした状況下で、日本に本社があるグローバル企業の中核で戦略を決めていく側になりたいと思うようになりました。日本ならではの価値やパワーを世界に発信し、世界の企業、そして社会に貢献したい。社会人になった頃からの熱い思いを実行に移そうと、転職を決めたのです。

Q. 前職と富士通との企業文化がかなり違うと思いますが、転職の際、気にならなかったでしょうか。

私自身は、富士通と前職がすごく違うとは思っていませんでした。前職ではビジネスパートナーとして外から富士通を見ていましたが、ビジネスの最前線に立つ富士通の社員はGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの5社の総称)よりも実行力があると思っていました。というのは、GAFAMの場合、直接お客様に届けるサービスは限られています。一方で富士通はお客様の一番の身近なパートナーとして、単に製品やソリューションを提供するだけでなく、コンサルティングから運用まで行っています。お客様を一番よく知っている富士通こそが、お客様の変革を実現し、社会の変革をリードできると捉え、魅力的に感じていました。

アイデンティティーをよりシンプルに分かりやすく

Q. 現在のポジションと業務内容について教えていただけますでしょうか。

私はChief Marketing OfficerCMOとして富士通全体のマーケティング活動をリードしています。
就任以来、最初に手掛けている大きなプロジェクトはブランディングでした。富士通はここ数年、Bto CからBtoBに大きくビジネスドメインの変更を進め、様々な製品、ソリューションを持ち、あらゆるお客様の課題に向き合い解決をしているため、一般の人々から、何をしている会社なのかが分かりづらくなってきました。特に海外でも富士通に対する認知度は国によって異なってきています。
時田社長が定めたパーパスをベースに、それぞれのお客様のVisionや課題に、富士通がどのような価値をもたらすか “分かりやすくシンプルに”伝え、お客様の変革を後押しすることが、現在の最重要ミッションです。
例えば、これまで富士通ではいいソリューションができたら発表していくというアプローチが主流でした。これからは、お客様の声を聴き、お客様のニーズに合ったもの、あるいはお客様の想像を超える価値を提供していけるメカニズムを作っていこうとしています。

Q. ちなみにビジネスを取り巻く環境や抱えている課題は変化していますか。

今まではデジタルは、ツールの一つというお客様もいましたが、デジタルは必須、あるいはすべてと考えるお客様も増え、ニーズも多様化しています。
また、世の中の不確実性は高まり、想定外のことが起こった状況下でも不確実性を可能な限り少なくするために、データを集め分析し、未来を予測しなければならなくなりました。そんな今だからこそ、これまで富士通が培ってきたテクノロジーはもちろん、経験やナレッジなどの強みが生かせるのではないかと思います。

Q. 全社DXを進めていくために具体的にどういうことに取り組んでおられるのでしょう。

まずは、お客様の声を聞き、それに応えるという「VOICEプログラム」に取り組んでます。­
全世界でお客様の声を集めることにより、富士通がお客様からどのように見られ、何を改善すべきなのかが浮き彫りになります。営業組織から経営層まで巻き込んだ定期ミーティングを実施し、お客様の声から得られた課題やデータ分析から見えてきた洞察について議論を重ね、経営者の意思決定を行っています。

1+1=10に変えられる文化が強み

Q. 2021年4月から行われる新たな取り組みについて教えていただけますか。

ビジネスでデジタルが必須となった今、富士通は先を見越した提案をしていくことが求められます。お客様が求めるものを提供するだけでなく、お客さまの変革をリードしていくことが必要となってきています。そのためにも、様々なお客様のニーズにあったソリューションポートフォリオを急ピッチで整えなければなりません。2021年4月、これを専門に行う組織をマーケティング配下に新設しました。これにより、お客様への提案をスピーディーに最適な形で行い、、お客様の変革の成功をご支援することができるはずです。

Q. 外資系から転職されて感じる富士通だからこその強みとは。

富士通の文化は、競争ではなく共創。日本人のDNAのひとつでもあるコラボレーションを通じて世界に誇れる実績を作っていくことが強みです。お互いに切磋琢磨しつつ、1+1=10になるような手と手を携えて協力し合う関係ができているので、組織として大きく成長していく可能性を感じます。

Q. DX時代、世界で先んじた企業として走り続けるために求める人物像とは。

実行力のある人です。戦略を作ることも重要ですが、これからの富士通は短期間で成果を出していかなければなりません。それには実行力が必須です。たとえ失敗してもいいんです。その失敗から学び次の成果に結びつけていく。それができる人、そうしたい人に来ていただきたいです。

Q. 最後に仲間になっていただく方への期待とメッセージをお願いします。

現在、私が直接、関わっている組織に属する約半数が外国人であることからも分かる通り、富士通内の組織の多様化、グローバル化は進んでいます。着任以来、毎日オンラインで世界中のチームメンバーと会話をし、アジャイルにダイナミックに、プロジェクトを進めています。 毎月約500人の全世界の本部メンバー全員が集まりオンラインミーティングを行いながらカルチャー変革も急ピッチで進めています。会話をし始めたばかりのころ、みんなが最初に感じたのは実は“居心地の悪さ”でした。文化や人種、バックグラウンドも違うから、異なる意見が出てきました。でもその“uncomfortableに感じること(違和感)”こそがみんなが真剣に考え始めている兆しでした。異なる意見が出てヒートアップもしますが、その後フォローアップのケアを必ず行う、それを1年間続けてきて、風土は変わってきています。
多様な人が集まる組織よりも、似た文化の人が集まった組織の方が“あうん”の呼吸で働けるので、一時的に物事が早く進んでいるように感じるかもしれません。でもそれでは変革は起こらず、富士通の未来は難しくなると考えます。“Diversity and Inclusion”こそが富士通が、今、進化するために必要なことだと思っています。
今、富士通はどんどん変わっています。それを皆さんにも実際に体感していただきたいです。