──はじめに、2024年にコンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」が設立された背景について教えてください。
富士通はハードウエアの製造から始まり、現在は売上の大半をSI(システムインテグレーション)ビジネスが占めるなど、「モノ売り」から「コト売り」へと変遷してきました。SIビジネスという枠組みのなかにいる以上、どうしても「プロダクトアウト」の発想から脱却しきれない側面があったのも事実です。
一方で、世の中のニーズはロングテール化しています。この変化に対応するためには、単に富士通の有するオファリング(製品・サービス)をプロダクトアウトするだけでも、クライアントの顕在化ニーズに熱心に対応する「御用聞き」となるだけでもいけません。そこで、富士通が掲げるパーパス「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を実現し、お客様の事業成長と社会課題解決の両立を推進する「Uvance」が生まれました。その後、2025年に富士通のグローバルコンサルティング事業ブランドとして立ち上がったのが、私たちUvance Wayfindersです。
現在、Uvance Wayfindersは組織規模・売上ともに急速な成長を遂げています。この確かな実績が呼び水となり、現在はBig4をはじめコンサルティング業界のトッププレーヤーたちが集まってきており、さらなる成長の原動力となっています。

──昨今はどんなテーマに注力されていますか。
やはり「AI」は一つのキーワードです。世の中を見渡すと、AIに対して過度な期待を抱く層と、距離を置く層の二極化が進んでいます。ここで大切なのは「AIという技術やシステムをいち早く導入すること」ではありません。「自分たちの5分後の作業がどう変わるか」といった身近なレベルまで期待値を一度下げ、AIと自分の現在地(As-Is)を正しく理解することです。そのうえで、あるべき姿(To-Be)を描くことで、会社も自分(社員)もROIを体感できるAIビジネスを支援しています。
もう一つ、私が専門とする「チェンジマネジメント(行動変容・組織変革)」への引き合いも急増しています。人間は本能的に、変化に対する恐れを有しています。不確定要素にあふれ、変化のサイクルが高速化した現代は、人間の生存本能にとっては大きなストレスになっています。そこで「制度やシステム、業務のやり方を変えます」とハードだけ変えても、真の変革は困難です。人の感情や組織の風土といったソフトの面に向き合い、変革への土壌を耕す。この人間中心のアプローチが、AI活用を含めた昨今の変革を成功させる鍵となっています。

──投資銀行や戦略系ファーム、Big4などでキャリアを積み、富士通に参画された丸山さんですが、現在の業務内容や仕事への向き合い方について教えてください。
現在は「Strategic Change Management」というチームの責任者を務めており、戦略とチェンジマネジメントの両輪を担っています。なぜ戦略と組織変革をセットで行うのか。それは、変化の激しい現代において、トレンドを追いかけ、数年かけてシステムを入れるような従来の手法では、常に後塵を拝してしまうからです。確実性の高い未来を有名なフレームワークを使って分析し想定する、そんなボトムアップの未来像では競争力を得られません。未来は、自分たちで描く。自ら描くからこそ、機動的に軌道修正できる。軌道修正には変化、つまり不安がつきものなので、チェンジマネジメントで机上の空論にならないよう現場も巻き込み続ける。これが必要です。
私たちのゴールは、お客様を「コンサルタント依存」にさせることではなく、お客様が自律的に変革し続けられる力を養うことにあります。「自分たちで戦略を描き、組織を動かせるようになったら、もう私たちは不要です」と言えることこそ、真の価値だと思っています。
私たちは形あるものを売らないからこそ、知識と人間性の両側面からコンサルタント自身が信頼に足る人間かが問われ、お客様の成長と共に自分も成長できます。そんなところにこの仕事の奥深さを感じています。



