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なぜ、“百戦錬磨”の女性コンサルタントは「富士通」を選んだのか?

富士通が、絶好調だ。2025年3月期の決算では、売上高3兆5,501億円、調整後利益は2,409億円と過去最高益を叩き出し、名実ともに日本を代表するテクノロジーカンパニーとしての地位を盤石なものにしている。
その変革の象徴とも言えるのが、富士通が2021年に立ち上げた「Fujitsu Uvance(ユーバンス)」だ。
これは社会課題(脱炭素、サプライチェーンの断絶など)を起点として、クロスインダストリーで顧客の成長に貢献する事業モデルで、いわばSIerのように顧客の要件に対応するのではなく、あらかじめ社会課題に対する解決策を標準化されたサービスとして用意し、それを顧客に提案する事業モデルといえる。

同事業は、富士通のなかでも存在感を示しはじめており、2025年度に7,000億円の売上を目指す。そのためには、顧客の経営変革のアジェンダ策定から実装まで支援するコンサルティングが求められる。
つまり「Uvance」の価値提供のカギを握る一つが、コンサルタントということになるわけだ。そこで、2024年に立ち上げられたのが、コンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」である。
しかしながらコンサル業界は、外資系コンサルティングファームや国内SIer、ブティック系がひしめくレッドオーシャンだ。そこで、後発ともいえる富士通は何を武器に戦うのか。
外資系ファームやソフトウェア企業の戦略を担ってきた富士通の工藤晶氏と、同じく外資系戦略・総合ファームを経て参画した丸山怜萌氏の二人に、富士通だからこそ提供できるベネフィット、そして富士通流のコンサル像に迫った。

なぜ今、日本屈指のテクノロジーカンパニーが
「コンサル」を核に据えるのか

──工藤さんは、2025年3月から富士通に参画されました。日本を代表するテクノロジーカンパニーの富士通が、コンサルティングを事業の核に据える狙いはどこにあるのでしょうか。

工藤 現在のIT産業では、コンサルタントが構想や業務要件をまとめ、それを受けてIT要件をシステム側がつくる「バトンリレー」的な進め方がまだまだ多い。
しかし、AIの台頭や予測不能な社会情勢など、非常に早い変化が起きており、その度に課題も変わっていく。
戦略を決めて、要件を定義して、開発して……というウォーターフォール的な進め方では、世の中の変化に追いつけないのです。

今求められているのは、顧客の課題を見つけるだけでなく、何が課題なのかを問いかけ、アジャイルに実装し、現場で動かしたフィードバックを基に次の一手を打つこと。
この一連のサイクルを、一気通貫でスピーディに回せる組織なのです。
実際に、我々のクライアントからは「絵を描いてくれるコンサルタントはいるけれど、本当にそれがうちの複雑な現場で実装できるのかわからない」という声をよく耳にします。
そこに、富士通の勝機があります。我々は創業より様々なテクノロジーに対するナレッジやアセットがあり、それを知り尽くし、武器とするコンサルタントが富士通のエンジニアとともに、最初から実装を見据えて問いを立てられる。
これが「Uvance Wayfinders」の強みだと考えています。

──ナレッジやアセットについて、もう少し詳しくお聞きしてもよいでしょうか?

工藤 スーパーコンピューター「富岳」に代表されるコンピューティング製品がありますが、量子コンピューティング、ナレッジグラフによるAIの高速化、宇宙天気予報、さらにホワイトハッカー集団まで。
まさに「おもちゃ箱」のように、面白いパーツがたくさんあるのが富士通なんです。
「Uvance Wayfinders」の仕事は、クライアントの課題に合わせて、これらの“おもちゃ”を縦横無尽に組み上げ、ソリューションをアーキテクトしながら、構想・開発・実装まで伴走していくことだと考えています。

エッジだらけの、行き止まらない組織

──丸山さんは戦略系やBig4と呼ばれる外資系ファームを経て富士通に来られました。実際に富士通に入ってみて、どのような違いを感じますか?

丸山 富士通を外から見ると、総合力が強いバランスの取れた大企業という感じでした。レーダーチャートで見ると、全ての項目が最大値に近い状態になっているようなイメージですね。

でも、実際に富士通の一員になって、中からそのレーダーチャートを見てみると、実はいろんな方向に猛烈な「エッジ」が立っている人がたくさんいる。エッジのトゲトゲが360度に放射された集合体だから、遠くから眺めると丸く見えるだけだったんです(笑)。
たとえば、市況環境や地政学リスク等の外部環境依存度が、極めて高い業界のクライアントとご一緒させていただいたときのエピソードがあります。
クライアントの課題の一つとして、不確実性と多量変数により業績予測が立てづらいことがありました。
そこで、人やモノ、エネルギーや情報などのあらゆる“流れ”の予測精度をいかに向上させるかという議論になったとき、富士通に所属している「宇宙天気予報」の研究者との会話から、解決の糸口が見つかったことがありました。

というのも、太陽表面で発生するフレアなどの太陽活動は、地上インフラに対して、通信障害、GPS精度低下、送電網の電流増大などを引き起こす一因となり、社会生活に影響を及ぼすんです。
もちろん、この一つの研究をもって、クライアントの課題が飛躍的に解決につながるわけではありません。しかし、それまでは「不可能」だと諦めていたことに、光明が見えたのは確かです。
最先端テクノロジーは、「不可能」を「可能」に、「変数」を「固定数」に変える可能性を秘めています。そして、それは私たちの想像や夢、期待を現実に変える力になります。
研究所含め、エッジという多様な専門性を有する富士通でこそ、クライアントの戦略を描き、変革を実現していく醍醐味は大きいですね。

工藤 尖った人の周りには、必ず別の尖った人がいる。芋づる式に面白い才能が出てくるんですよ。
だからたとえ悩んだとしても、社内に答えを知っている人がいる、もしくは答えに近づくヒントをくれる人が見つかるのです。

丸山 私が驚いたのは、富士通は「行き止まらない組織」だという点ですね。富士通は、好奇心に従って掘り下げていくと、どこまでも深みがある。だから自分が思ってもみなかった解決策が生み出せるような感覚があります。

工藤 それができるのは、富士通は日本の会社であることも大きいかもしれません。世界トップクラスの研究者と日本語で、かつ同じ志を持って、物理的な距離も近く議論できる。

このダイナミズムは、外資系の日本支社ではなかなか味わえないものです。

丸山 クライアントが口にする課題は、氷山の表出した一角にすぎません。
たとえば「顧客管理システムを入れたい」というクライアントの要望をいただいた際、お話を伺うと顕在化したニーズの根本には、顧客理解度を高めるための「営業員の意識改革」という真の課題があることに気づきました。
一見、「SIビジネスが強い富士通なら、クライアントの言葉通りにシステム導入を提案したら?」と思われるかもしれません。
しかし、クライアントの真の変革のために、課題の根源をコンサルタントが突き詰め、富士通の持つ実践知や研究者たちのエッジを掛け合わせてブレイクスルーする。それができるのが富士通の面白さであり、特異点なのかもしれません。

プロフェッショナルを支える、信頼の文化がある

──富士通のユニークさを活用しながら、とことん顧客にコミットできるんですね。

丸山 そうですね。加えて、富士通の「Uvance Wayfinders」では、コンサルティングのパフォーマンスを「時間」ではなく「提供価値」によって判断します。
クライアントの成長にコミットするのはもちろんですが、富士通だからこそやる意義があるのか、そして「Qfinity(※)」に適うかが重要な軸になっています。
富士通は90年という長きにわたって、日本の経済界に根差してきた伝統ある会社です。その歴史やクオリティのバトンを次世代につなぐためにも、コンサルティングの「提供価値」は絶対的指標だと考えます。

※Qfinity:Quality=質と、Infinity=無限を合体させた造語で、「一人ひとりが無限にクオリティを追求する」という富士通グループのDNAを表す。

“量より質”であることは、厳しいながらも競争原理において本質であると思いますし、私も幼い子どもを育てながら働いているので、単なる労働時間ではなく提供価値という質に重心を置けるのは助かっている側面もあります。
工藤さんに働き方の相談をした時も、即座に「君のパフォーマンスが最大限発揮できる環境を約束するよ」と言ってくれた。組織としての器の大きさを感じましたね。

──実際に、働き方はどう変化しましたか。

丸山 圧倒的に変わったのは、家族のコンディションやライフスタイルに合わせた「働き方の設計図」を自分で描けるようになったことです。
以前は2週間先まで会議が分刻みで埋まり、思考を深める余裕すらありませんでしたが、今は日中のスケジュールの「余白」をコントロールできている。
ただ、勘違いしてほしくないのは「富士通はホワイトだから楽だよ」というわけではないんです。なぜなら、私は「コンサルタントは企業の医師であるべき」と思っているからです。

──医師、ですか。

丸山 たとえば、医師が「最善を尽くしましたが、私の知識不足で助けられませんでした」と言うのはありえないですよね。知らない病の診断、知らない治療をすることなどできません。

私は、2002年の新聞記事の切り抜きを今も常に持ち歩いています。
それは、前・金沢大学付属病院長だった河崎一夫さんが「知識不足のまま医師になると、罪のない患者を死なす。(中略)こんな医師になりたくないなら『よく学び、よく遊び』は許されない。『よく学び、よく学び』しかない(中略)医師には知らざるは許されない」と書かれていたのを見て、コンサルタントも同様だと思ったんです。
コンサルタントが無知ゆえに誤ったアドバイスをし続ければ、極論ですが、クライアントの会社経営が危ぶまれ、従業員、ひいてはその家族の生活にまで影響が出てしまう可能性だってある。
そんなことは許されない。だから、労働時間が適正化されたとしても、時間当たりの生産性を極限まで高め、パフォーマンスを向上させなければならない厳しい世界です。つまり「自己規律」が非常に重要なんです。

工藤 丸山さんと私のやり取りなんて、チャットで「これやりたいです」と来たら、私が「いいね」ボタンを押して終わり。
私もコンサルタントの一挙手一投足を管理するつもりはないし、プロフェッショナルとして自律していることを前提に、信頼を置いています。

女性だから、採用するのではない

──「Uvance Wayfinders」は女性の採用を積極的に進めていますね。

丸山 私は女性だからという理由だけで、採用すべき加点要素になるとは思っていません。
一方で、セクシャルダイバーシティが進んでいる企業の方が、収益率が高いという明確なデータがあります。ダイバーシティは倫理的な課題ではなく、収益改善のための経営戦略だと考えています。
そういう意味では女性が増え、セクシャルダイバーシティが進むことはとてもポジティブです。
また、「Uvance Wayfinders」では良い意味でロールモデルがありません。
ロールモデルは、自分の理想と現実のギャップを他者に投影し、生まれる概念だと思います。しかし、ここでは自分で道を創ることに対するハードルが、驚くほど低いんです。
提案すれば「やっていいよ」と言ってもらえる環境がある。自分の努力次第で理想へのギャップを埋めやすいので、ロールモデルがなくても、一人一人が多様な自己実現をしやすい。

工藤 今の富士通は、変革受容性が高いんですよね。特に、この5年間の「フジトラ(全社DXプロジェクト)」などの成功体験を通じて変化し、多様な意見を取り入れることが当たり前になった。

丸山 そうですね。私としては、アメ(業績向上)とムチ(変わらなければ生き残れない環境)の両方がうまく機能していると感じます。
だからこそ、女性であれ男性であれ「こうすればもっと価値が出せる」という意志がある人にとって、これほど羽を伸ばせる場所はないはずです。

何かになりたい人より、何かをやりたい人へ

──最後に「Uvance Wayfinders」への参画を検討している方へメッセージをお願いします。

工藤 私は、「何かになりたい(役職や肩書き)」人よりも、「何かをやりたい」人に来てほしいと思っています。富士通には、世界を変えうるリソースが山ほどあります。
それらを使い倒して、社会課題を解決したいという強い思いがあれば、富士通のテクノロジーと世の中のテクノロジーを組み合わせて、新たな解決策を創ることができる。これができる可能性が非常に高いのが富士通だと思います。
加えて「Wayfinders」という名前の通り、我々はまだ道を探している最中です。
お膳立てされた環境でパフォーマンスを出すタイプではなく、サバイバルな環境を楽しみ、自ら文化をデザインしていける自律したプロフェッショナルを待っています。

丸山 コンサルティングという業務を通して「変える」やりがいと、「変わる」体感を両方得られる稀有な場所が「Uvance Wayfinders」です。

日本本社という資本力と機動力、そしてエッジの集合体である富士通のリソースを活用してクライアントの変革を実現し、日本や社会を「変える」やりがいは、富士通のコンサルならではです。
あわせて、富士通という巨大な場で、新しい組織を創り、自らの新陳代謝を設計し「変わる」体感を得ることができます。
私はコンサルティングの仕事が好きだからこそ、今の富士通を選びました。よくあるシステム導入ありきでソリューションについて考えるのではなく、本質的な変革を望む方と一緒に議論ができると嬉しいですね。

執筆:海達亮弥
撮影:茂田羽生
デザイン:田中貴美恵
編集:海達亮弥、川口あい

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2026-03-12 NewsPicks Brand Design