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災害時に一つでも多くの命を救いたい

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ドローンを活用した津波避難広報のシステム開発

2011年3月11日、日本に大きな爪痕を残した東日本大震災。想定をはるかに超えた未曽有の災害が、未来の防災・減災に残した教訓は多い。震災後も世の中のツール、デバイス、テクノロジーそれぞれが進化を遂げ続ける中、ドローンを活用した津波避難広報の実証実験に富士通を含めた複数の日本を代表する企業が挑んだ。

project member

  • 東 亮佑

    ドコモ第一ビジネス統括部 5Gビジネス部 2012年入社

    2012年入社

benefit of solution

世の中への提供価値

before

抱えていた問題

災害発生時に状況が共有できず、被害が発生

地震・津波の発生時に、被災地の状況把握のためには自治体の防災担当者が直接現場に行くしかなく、また、避難広報をする際に彼らが二次災害に巻き込まれるケースもあった。

ドローンを活用した津波避難システム

after

実現した世界

ドローンで安全に被災状況を確認し、マッピング技術で共有

ドローンに搭載したスマートフォンで災害現場を撮影し、写真と位置情報などをリアルタイムで地図上に表示。自治体は遠隔地から安全・迅速な被災状況の把握と、この情報に基づいた避難広報が可能となる。

story

ストーリー

  • 津波被害を軽減するためのドローンプロジェクトを提案。

    宮城県仙台市では2016年より、NTTドコモと連携して先端ITCを活用したまちづくりに取り組んでおり、富士通も協力企業として提案を行っていた。その企画のひとつが、ドローンを使って津波避難をサポートするシステムだ。

    東日本大震災の際、誰もが被災現場の正確な情報の入手が大変困難な状況下の中、懸命な避難広報を市民に行っていた自治体の防災担当者が、二次災害に巻き込まれることなども発生した。そのような悲劇を一件でもなくしていくために富士通が提案したのが、ドローンに搭載したスマートフォンで被災地を空撮し、写真と位置情報などをリアルタイムで地図上に表示することで、安全かつ迅速な被災状況の把握と情報共有を行う仕組みだ。

    仙台市とNTTドコモがプロジェクト全体の企画を行い、富士通はドローンから得た情報をマッピングする技術の開発を担当。スマートフォンには富士通が開発した地図アプリケーションをインストールし、市役所の複数拠点での情報共有には富士通VPXを活用してセキュアなデータ共有を可能にした。

  • ドローンを津波避難に活用するというチャレンジ。

    このプロジェクトの企画立案・推進を担ったのが、入社5年目だった東亮佑。地震発生後にドローンを使って携帯キャリアの通信復旧をするという先進的な仕組みを立案・実用化し、最優秀賞を受賞した経験の持ち主である。「富士通が蓄積したネットワーク技術、スマートフォン関連技術、そして自分のドローンに関する知見を大規模災害対策に活用できないか」と考え、プロジェクトに参加した。

    当時の日本はドローンの黎明期であり、この防災システムの取り組みは富士通にとって大きなチャレンジであった。東は社内のチームリーダーとしてマッピングシステム開発を指揮すると同時に、仙台市の防災担当者、NTTドコモ、ドローン開発を手がけるセンシンロボティクス(旧ブイキューブロボティクス)など、外部の関係各社とも緊密に連携を取りながらプロジェクトを推進していった。

  • 地方自治体、協力会社と連携し、困難を克服。

    「このプロジェクトの最も難しいところは、複数のプレイヤーと協力して新規事業を共に推進していくハンドリングでした」と東は語る。東は提案段階から毎週のように仙台を訪れ、NTTドコモと共に仙台市のニーズや想いを丁寧に聞き取ることで、円滑なプロジェクト運営を実現していった。一方、途中段階の実験では、ドローンがうまく飛行せずに撮影まで至らない、飛行に成功しても振動のため鮮明な画像が撮影できないといった様々なトラブルも発生。東はドローン操縦者や開発者と幾度となく議論を交わし、振動の問題では緩衝材を挟んだりテープで固定したりとトライアンドエラーを繰り返し、最終的にはスポンジタイプの緩衝材を使用することで振動を減らすことに成功した。

  • 日本の防災を先端技術で革新する、画期的な実験に成功。

    そして迎えた2018年3月19日。震災遺構 仙台市立荒浜小学校にて、「Jアラートが発した大津波警報をドローンが受信した」という仮定のもと、実証実験が行われた。仙台市、協力企業各社、その他関係者が見守る中、実証実験は無事に終了。二次災害などの危険が伴う被災地に赴くことなく、遠隔地から安全かつ迅速な避難広報ができることを実証した。

    この実験で、富士通のマッピングシステムをはじめ、各社の提供した技術が実用レベルに達していることが証明されたといえる。「日本ではまだドローンの防災利用に向けて法整備が必要で、すぐに事業化するのは難しいかもしれません。しかしこれが普及すれば、災害時にどう行動すればよいかわからないことがなくなる世界がつくれるはず。その礎をつくれたことに誇りを感じます」とプロジェクトを振り返る東。仙台市とNTTドコモが中心となり、富士通の技術もその一旦を担った本プロジェクトによって、先端技術で日本の防災を変えていく確かな可能性が生まれた。挑戦は、これからも続いていく。