【前編】大手日系メーカーの未来はどうなる?
KIRIN×富士通の人事対談

人口減少やグローバル企業の参入、ITの活用など、製造業界を取り巻く環境は目まぐるしく変化を遂げている日本。業界内の競争が激化する中、「昔ながらの体質」というイメージが強い大手日系メーカーも大きく変わり始めています。
今回は大手日系メーカーの未来を語るべく、日本を代表する飲料メーカーのKIRINが、同じく日本を代表するICTベンダーの富士通と人事対談。それぞれの業界を代表する企業という共通項を持ちながらも、BtoC企業のKIRINとBtoB企業の顔も持つ富士通とでは、環境に対応する「変化」に大きな違いがありました。前編では、大手日系メーカーのお二人が考える「変化」について迫ります。

出典:ウォンテッドリー株式会社|2020年3月公開より転載。

プロフィール

  • キリンホールディングス株式会社 人事総務部 人事担当

    土屋洋平(写真:右)

    2009年キリンホールディングスに新卒入社。営業職として生産部門を経験した後、2013年から2016年まで量販店の営業を担当。その後、人事総務部に配属となり、技術系や事務系の新卒採用に従事。2018年には部内異動にて、社内における異動・配置、タレントマネジメント、キャリア採用の戦略企画を担当し、現在に至る。

  • 富士通株式会社 総務・人事本部 人材採用センター

    芹澤隆文(写真:左)

    2009年富士通株式会社に新卒入社。人事部配属後、HRBP(HRビジネスパートナー)として営業・システムエンジニア領域を担当。2015年採用チームに異動となり、2018年まで新卒採用チームを担当。2018年にはキャリア採用チームのリーダーに抜擢。その後、人事部における配属担当を経験し、現在に至る。

既存商品が通用しなくなったニーズの変化

KIRIN人事担当 土屋(以下、土屋)「今人口や経済状況、ITの普及など、世の中では様々な変化が起きていますが、中でも消費者や顧客の消費のあり方が多様化したことが、KIRINに最も大きな影響を与えています。例えば、ワインといえば、かつてはお祝いなど大切な日に、レストランなどの少し贅沢な空間で飲まれるシーンが一般的でしたが、ではスーパーやコンビニの棚に並び気軽に手に入りますし、女子会など自宅での飲用シーンが当たり前になりました。これは、ラグジュアリーな飲み物から身近な飲みものへと位置付けが変わったからだと思います。
さらに、消費者のライフスタイルや価値観の変化も消費のあり方に影響しています。2011年の東日本大震災を契機に、家族や幸せのあり方が見直され、人との繋がりを目的に消費行動を起こす『つながり消費』がトレンドとなりました。
SNSが普及すると、飲みものにおいても飲み方やシーン・見栄えなどが重視されるようになりました。その結果、マス向けの商品では太刀打ちできなくなり、消費のあり方に対応した様々な提案を求められるようになったのです。」

そう話すKIRINと言えば、「キリン一番搾り生ビール」「キリン 氷結®」をはじめとしたビール・スピリッツ事業や「生茶」「午後の紅茶」などの飲料事業がメイン。日常生活のあらゆる瞬間につながりのある商材だからこそ、消費者や顧客の変化に影響を受けやすいと言います。

富士通人事担当 芹澤(以下、芹澤)「高度経済成長期以降、良いモノを作っていれば売れる時代から付加価値を生み出さないとモノが売れない時代へと移り変わりました。さらに近年ではテクノロジーの進歩やグローバル化などによって、大手日系メーカーを取り巻く環境の変化がさらに加速していると感じています。
富士通はモノづくりの会社であることを起点に、有形商材から無形商材まで、時代に合わせて商品の形を変えていく必要に迫られていたのです。」

パソコン、携帯電話、モバイルウェアなどのユビキタスソリューション、電子部品事業などのデバイスソリューション、さらにはITを活用したビジネスソリューションを展開する富士通。次々に事業領域を拡大させ、時代の変化に対応しています。
KIRINも富士通も、各社を取り巻く環境の変化に対応しなければなりません。消費者や顧客のニーズが変化している状況で、競争に勝つために各社における事業も大きく変わってきているようです。

生き残りをかけて生み出していく
「付加価値」

土屋「KIRINでは取り巻く環境変化やお客様ニーズの変化に合わせて、商品から得られる体験に価値を見出す『コト消費』に寄り添うことが求められていると考えています。営業で現場にいた時も強く感じましたが、『おいしいものがこれだけ安く買えますよ』とお客様にいくらアピールしても選んでいただけません。
お客様の視点に立つと、KIRINの商品と他社商品の違いはわかりづらい。そのため、KIRINの商品を手に取ってもらうには、まだない新しさやイベント性などの付加価値を生み出すことが必要なのです。例えば、クリスマスやハロウィン、バレンタインなど、どんなシーンであっても、消費者のインサイトや未充足ニーズに対し、いかに商品やブランドが寄り添えるかという視点を常に持っていなければなりません。」

芹澤「富士通が求められている変化は大きく2点あって、1点目はAIやIoTなどの『テクノロジー』や『デジタル化』にさらに力を入れていくこと。そして2点目は顧客への関わり方を変えていくことです。
以前は請負型のソリューションを行っており、顧客の情報システム部に伺ってお客様の要件定義を作り、高品質で技術が優れているものを提供できれば喜ばれる時代でした。当時、自社サーバーを持ちながらソリューションを展開していたのですが、クラウドが一般的になっていくにつれ、新たな競合が台頭。そして、SaaSと呼ばれる競合のビジネスモデルが生まれたのです。
競争を勝ち抜き、生き残るためには、これまでのサービス対象だった情報システム部を越えて経営層にまで入りこむ必要が出てくる。お客様の課題や状況を理解した上で、『サービスの導入後に会社としてどうすると良いのか』まで描けることが求められていると感じています。」

消費者のインサイトを追っていくKIRIN。顧客への関わり方を変えていく富士通。BtoC企業、BtoB企業の変化への対応の違いと言えます。環境に合わせて変わり続けていく両社ですが、一方で伝統ある大手日系メーカーとして今後も守り続けていきたい価値があるといいます。

業界を代表する企業だからこそ、
守り続ける「価値」

土屋「KIRINが掲げる3つのバリューのうち、熱意(Passion)、誠意(Integrity)は創業当時から継続して大切にしているもので、会社の共通の価値観として根付いています。
これまでも、これからも、飲みものの喉を潤すという機能的価値や、おいしさによって驚きや感動・よろこびを届けるという役割は変わりません。あくまで変化しているのは、商品の作り方や届け方、そして、その先にある消費者の幸せのあり方。
消費者に合わせてアップデートし、よりおいしいものを効率的に作り続けることは大切にしつつも、その根底にあるDNAや思いは残していくべきだと考えています。」

芹澤「富士通では、人、技術力、高品質・高信頼といった点が今後も残すべき価値だと考えています。富士通はブランドプロミスとして『shaping tomorrow with you』を掲げ、お客様と一緒に価値を届けていく、最後まで貪欲に逃げずにやる、といったマインドがカルチャーや品質の良さ、お客様への信頼性を築いています。
また、日本を支えること誇りを持っている企業として、今まで作り上げてきた24時間365日動き続けるシステムは、残していかないといけません。創業時から商品の形が変わり続けても、変わらずに富士通らしさを守り続けられるのは、根底にある確かな技術力だと自負しています。」

変わらない価値観を大事にしつつも、生き残っていくためには積極的にイノベーションを起こしていかなければなりません。そのために、事業だけでなく社内においても制度面や風土のアップデートが行なわれています。

イノベーションを生むために
社内で起き始めている変化

土屋KIRINが掲げるバリューのうち、最後の一つが多様性(Diversity)。2019年からダイバーシティを本格的に進めるようになり追加しました。「違いを力に変える」、つまり、多様な価値観や視点の違いを受けとめ、その違いを活かし成果に結びつけるということが共通のDNAとなったのは、会社としての大きな変化です。
また、社内で起きている変化という点では、「手を挙げる」という考え方が浸透してきました。一人ひとりのチャレンジを推奨し、会社はチャレンジする人を全力で応援する、そういうムードが社内に広がりつつあります。研修体制においても、自分から手を挙げて会社負担で社外の研修への参加が可能です。
経営者育成を目的とした研修では、社長に新規事業を提案できる機会もあります。その他にも、海外に赴き、その土地の社会問題や環境問題と向き合い、長期インターンを経験する留職制度や海外ビジネス体感研修など、自身の価値観の多様化を目的とした制度も設けています。
近年では、様々な消費スタイルに即した商品を出すために積極的にイノベーション起こそうという動きがあり、ジョブローテーションや社外交流の動きも活発です。KIRINは今、社員一人ひとりの成長と多様な個性を伸ばす機会の創出や制度拡大に力を入れています。」

芹澤「富士通は社内における学びの環境が大きく変わり始めています。eラーニングやオンデマンドが充実していたり、Web上でプレゼンをする社内版TEDのようなものを作ろうとしていたり。
社員を教育できるのが大手の良いところである一方で、富士通では『プラットフォームは会社で用意するけれど、社員一人ひとりが変わっていかなければいけない』というメッセージを社長が発信しています。
『自らキャリアを選択する』というのが会社の考え。ですから、2017年に始まった社内公募制度は、年々応募数が増えています。制度を利用する社員の増加数を見て、社員一人ひとりがキャリアを選択する文化が根づいてきていると実感しています。この流れをさらに加速させていきたいですね。」

日本を代表する大手日系メーカーのKIRINと富士通。良いモノを作るだけでは通用しなくなった今、消費者や顧客のインサイトを捉え、商品やサービスに付加価値を生み出すことが欠かせません。またイノベーションを起こすために、会社の制度や教育体制にも変化が起こっています。
後編では社内における変化の一つであるキャリア採用のアップデート、さらに人事のお二人が考える理想の企業像、今後必要となる人材について、お話しいただきます。

後編はこちら

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